田中良和国際法律事務所|米国法人設立サポート

全米プラットフォーム事業とUnclaimed Property(未請求財産)対応の基本

全米でネットビジネス(プラットフォーム事業)を展開する場合、見落とされがちな重要論点の一つが「Unclaimed Property(未請求財産)」です。特に、クリエイターやサービス提供者の報酬をプラットフォーム内に留保できる仕組みを採用している場合、各州法への対応が不可欠となります。

本記事では、実務上押さえるべきポイントを簡潔に整理します。


本記事の前提となるモデルは以下の通りです:

  • プラットフォーム運営会社がオンラインサービスを提供
  • 各州のサービス提供者(クリエイター等)が顧客にサービス提供
  • 顧客からの支払いはプラットフォームを通じて受領
  • サービス提供者の報酬はアカウント内に留保可能(即時引出し義務なし)

この「留保された資金」が、Unclaimed Property規制の対象となります。


Unclaimed Propertyとは、一定期間にわたり権利者(ここではサービス提供者)によって引き出されていない財産を指します。

典型例:

  • 未引出しの報酬残高
  • 未請求の支払金
  • 長期間ログインされていないアカウント残高

これらは、一定期間経過後、州に「エスチート(escheat)」される義務が生じます。


州ごとに異なりますが、代表的な期間は以下の通りです:

区分期間主な州の傾向
短期約2年一部州(例:デラウェアの一部類型等)
中期約3年多くの州(カリフォルニア含む)
長期約5年一部州

※どの州法が適用されるかは、通常「所有者(サービス提供者)の最終住所」または「会社の設立州」により決まります。


一定期間が経過した場合、事業者(holder)は以下の義務を負います:

(1) 州への報告(Reporting)

未請求財産の内容を州政府に報告

(2) 通知(Due Diligence)

サービス提供者へ事前通知(通常、報告前60〜120日前)

(3) 州への支払い(Remittance)

未請求資金を州へ送金


■ (1) 利用規約での明確化

  • 残高の性質(預り金か、支払債務か)
  • 引出し期限や条件
  • 休眠アカウントの扱い

→ ただし、規約で州法の適用を回避することは不可


■ (2) 統一ポリシーの設計

全州対応のため、以下のような運用が実務的です:

  • 最短期間(例:2年)を基準に管理
  • 休眠前に自動通知(メール等)
  • 一定期間でアカウント凍結・処理フロー開始

■ (3) 州別対応の必要性

完全な統一は困難であり、以下は州別管理が必要:

  • 報告期限
  • フォーム
  • 電子提出要否
  • 通知方法(郵送必須の州もあり)

❌「利用規約で失効させれば州に渡さなくてよい」
→ 原則として無効。州法が優先されます。

❌「海外在住のクリエイターは対象外」
→ 米国州法上、一定条件で対象となる可能性あり。


プラットフォーム型ビジネスでは、未引出し残高は以下の流れで管理されます:

  1. 一定期間(2年〜5年)未請求
  2. サービス提供者へ通知
  3. 州へ報告
  4. 州へ資金移転

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

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