カリフォルニアで会社(Corporation)を設立するとき、弁護士や会社設立サービスから「コーポレートバインダー(Corporate Binder)」という言葉を耳にすることがあります。
この「コーポレートバインダー」とは何でしょうか?
1. コーポレートバインダーとは?
コーポレートバインダーとは、会社設立後に作成される 会社の基本的な記録をまとめたフォルダー のことを指します。
通常は高級感のあるバインダー形式で提供され、会社の「憲法」とも言える 定款・議事録・株主台帳などの重要書類 が体系的に整理されます。
2. コーポレートバインダーに含まれる主な内容
コーポレートバインダーには、次のような書類や記録が含まれます:
- 会社設立証明書(Articles of Incorporation)
州務長官に提出された会社の設立登記書類。 - 附則(Bylaws)
会社運営のルールを定めた社内規程。取締役会・株主総会の運営方法などが規定されます。 - 議事録(Minutes)
設立時の取締役会や株主総会の議事録。最初の役員選任、銀行口座開設決議などが含まれます。 - 株券・株主名簿(Stock Certificates / Stock Ledger)
株式の発行を証明する証書と、誰が何株を保有しているかを記録する名簿。 - 会社印(Corporate Seal)(任意)
公式文書に押印するための社印。カリフォルニアでは法的に必須ではありません。
3. なぜコーポレートバインダーが重要か?
- コンプライアンスの証拠
正しく維持されたコーポレートバインダーは、会社が形式を守って運営されている証拠となります。 - 有限責任の維持
株主や取締役が会社と個人を区別していることを示し、いわゆる「会社のベール(corporate veil)」を守るために必要です。 - 銀行・投資家対応
銀行口座の開設や投資家からのデューデリジェンスの際に、必ず提示を求められる重要な記録です。
4. 日本企業や起業家が注意すべき点
日本では会社設立後の会社記録が比較的シンプルですが、アメリカでは細かいコーポレートガバナンスの記録が求められます。
特に日本企業がカリフォルニアに子会社を設立する場合、投資家・取引先からコーポレートバインダーの整備を求められることが多いため、設立直後から整備することを強くお勧めします。
まとめ
コーポレートバインダーは単なる書類フォルダーではなく、会社の「憲法」と「歴史」を記録する重要なツールです。
これを適切に整備・維持することは、会社の信頼性を高め、将来の法的リスクを減らすためにも不可欠です。
✅ カリフォルニアでの会社設立やコーポレートバインダーの整備に関してご相談がある方は、当事務所までお気軽にご連絡ください。
免責事項
本記事は一般的な法的情報の提供を目的とするものであり、具体的な事案についての法的助言を行うものではありません。実際の案件については、必ずカリフォルニア州の弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和