カリフォルニア、ロサンゼルス、サンフランシスコで会社を設立する際、登記住所をどこにするか、迷うことがあります。
特に、会社設立前は、会社名義でオフィスの契約をすることもできないですし、通常会社を設立してからオフィスを借りることが多いので、会社の設立時の住所をどうすればよいか分からないことがあります。
会社の住所には郵便物が届きますので、確実に郵便物が届く場所を住所にした方がいいです。
カリフォルニアで会社設立時に住所をどう設定すべきか
カリフォルニア州(ロサンゼルス、サンフランシスコを含む)でCorporation(株式会社)やLLC(合同会社)を設立する際、最初に決めなければならないのが「会社の住所(Principal Office Address)」です。
この住所は、州務長官(Secretary of State)に登録され、公開情報となるだけでなく、税務・裁判所・行政からの通知や訴状(Service of Process)が届く正式な窓口にもなります。
そのため、登記住所はビジネスの信頼性や実務運営に直結する重要な項目です。
一般的にはオフィス所在地を会社住所にする
カリフォルニアでは、実際に会社の業務を行うオフィス所在地をPrincipal Office Addressとして記載するのが基本です。
特にロサンゼルスやサンフランシスコのような主要都市では、会社住所がビジネス上の信用力を高める要素にもなります。
この住所は、登記上も一般公開されるため、信頼性・透明性の観点からも、事業実態のあるオフィスを使うことが推奨されます。
オフィス契約前は自宅住所でも一時登録が可能
会社設立の初期段階では、まだオフィス契約が完了していないケースも多いでしょう。
その場合、一時的に自宅住所を会社住所として登録することが可能です。
- 設立登記書類(Articles of Incorporation / Articles of Organization)に自宅住所を記載
- 後日、オフィス契約が完了した段階で、**Form SI-550(Corporation)または LLC-12(LLC)**を提出し、住所を正式なオフィスに変更
この方法により、オフィス契約を待たずに会社設立手続きを先に進められます。
Registered Agentとの違いを理解する
会社住所(Principal Office Address)と**Registered Agent(登録代理人)**の住所は別のものです。
混同しやすいので、以下の点を押さえておきましょう。
| 種類 | 役割 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Principal Office Address | 会社の本社住所・事業拠点 | 郵便物・税務・行政通知の送付先。登記上も公開される。 |
| Registered Agent Address | 訴状や法的文書の受領先 | 弁護士または専門業者を指定するのが一般的。 |
Registered Agentは、訴状・行政書類の受領を代行する専門業者を指定できるため、州外企業がカリフォルニアに進出する際にも必須です。
ただし、Registered Agentの住所を会社の本社住所として使うことは避け、実際に業務を行う場所を別途設定しましょう。
住所変更の手続方法
オフィスが決まったら、次の手続きで会社住所を変更します。
- Corporationの場合: Form SI-550(Statement of Information)を提出
- LLCの場合: Form LLC-12を提出
いずれもCalifornia Secretary of Stateの公式サイトからオンラインで提出可能です。
通常、数営業日で登記情報が更新されます。
バーチャルオフィスやコワーキング利用時の注意点
ロサンゼルスやサンフランシスコでは、バーチャルオフィスやコワーキングスペースを登記住所として使うケースも増えています。
ただし、契約プランによっては登記利用が制限されている場合があるため、必ず以下を確認してください。
- 契約上、登記住所として利用できるか
- 郵便物や訴状を受け取れる体制があるか
- 専用のスイート番号(Suite No.)が付与されるか
これらを満たしていないと、訴状が届かずデフォルト判決(欠席判決)を受けるリスクもあります。
まとめ:まずは自宅住所でOK、後から正式オフィスに変更
カリフォルニアで会社を設立する際は、以下の流れが実務的です。
- オフィス契約前は自宅住所で登記
- 設立手続きを迅速に進める
- オフィス契約後にForm SI-550 / LLC-12で住所変更
これにより、登記スケジュールを遅らせることなく、柔軟に事業開始ができます。
特にロサンゼルスやサンフランシスコのような主要都市では、オフィス契約後の速やかな更新が信頼性確保の鍵となります。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法律上の助言ではありません。
具体的な会社設立や住所登録に関しては、必ずカリフォルニア州の弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和
