カリフォルニア州で事業を行おうとする他州法人や外国(日本など)の法人は、「外国法人(Foreign Corporation)」としてカリフォルニア州務長官(California Secretary of State)に登録しなければなりません。
ここでいう「Foreign」とは、アメリカ合衆国外だけでなく、カリフォルニア州以外の州で設立された法人も含まれます。
登録が必要となるケース
- カリフォルニア州内にオフィスや事業所を設置する場合
- カリフォルニア州内で継続的にビジネスを行う場合(販売、サービス提供、従業員雇用など)
- 銀行口座の開設、契約の締結、従業員採用をカリフォルニアで行う場合
※「単発的な取引」や「州際取引(interstate commerce)」に限られる場合は登記不要なケースもあります。
登録のための手続
1. 申請書類の提出
- Statement and Designation by Foreign Corporation をカリフォルニア州務長官に提出
- 登録料:現在は約100ドル
2. 資格証明書(Certificate of Good Standing等)
- 本社がある州や国で有効に設立・存続していることを証明する書類を添付
- 日本法人の場合は「登記事項証明書(履歴事項全部証明書)」とその英訳を公証することが一般的
3. 送達代理人(Agent for Service of Process)の指定
- カリフォルニア州内に住所を有する個人または法人を指定
- 訴訟や裁判所からの書類送達を受けるための必須要件
4. 追加手続き
- EIN(Employer Identification Number)の取得(IRSに申請)
- 市・郡レベルのビジネスライセンスの取得
- 雇用を予定する場合は州労働法に基づく登録も必要
登録後の義務
- Statement of Information の提出(最初の登記から90日以内、その後は毎年または隔年)
- フランチャイズ税(Minimum Franchise Tax):カリフォルニア州では原則として年間最低800ドルの州税が課されます(LLC・Corporation問わず)
- 各種法令遵守(労働法、消費者保護法、プライバシー法、環境規制など)
登録しない場合のリスク
- カリフォルニア州裁判所で訴訟を提起できない
- 民事罰金が科される可能性
- 契約の執行に不利な影響が生じることがある
まとめ
カリフォルニアでの事業展開を考える外国法人にとって、外国法人登記は必須のステップです。
手続き自体は比較的シンプルですが、証明書類の翻訳・公証、送達代理人の指定、州税やコンプライアンスへの対応など、専門的な判断が必要になる場面が多くあります。
弁護士に相談することで、スムーズかつ確実に登記を進め、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
免責事項
本記事は一般的な法的情報の提供を目的としたものであり、法律相談ではありません。具体的な事案については必ずカリフォルニア州の弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和