カリフォルニア州で会社を設立する際、株式の発行は重要なステップですが、米国の証券法に基づき原則として証券取引委員会(SEC)への登録が必要とされています。もっとも、多くのスタートアップや中小企業は登録免除(Securities Exemption)を利用することで、コストを抑えつつ効率的に株式を発行しています。
本記事では、カリフォルニア州の株式登録免除制度について、日本企業や起業家向けに分かりやすく解説します。
登録免除制度とは?
米国では1933年証券法(Securities Act of 1933)に基づき、証券の発行はSECへの登録が原則です。しかし、一定の条件を満たす場合には登録免除(exemption)が認められます。カリフォルニア州の場合、California Corporations Codeの規定も適用され、州法と連邦法の両方を確認する必要があります。
カリフォルニアでよく利用される登録免除
1. カリフォルニア州会社法 §25102(f)
- 対象者:創業者、役員、取締役、10人未満の投資家
- 特徴:申請不要、比較的自由度が高い
- 制限:一般勧誘(広告・SNSでの募集)は不可
2. Rule 506(b)(Regulation D)
- 対象者:無制限の適格投資家+最大35名の非適格投資家
- 特徴:最も広く利用される登録免除
- 制限:一般勧誘は禁止
3. Rule 506(c)(Regulation D)
- 対象者:適格投資家のみ
- 特徴:SNSやウェブを使った一般勧誘が可能
- 制限:投資家が適格投資家(Accredited Investor)であることを合理的に確認する義務あり
4. Regulation S(海外投資家向け)
- 対象者:米国外の投資家(例:日本在住の親族や投資家)
- 特徴:米国外での発行に限定
日本企業・起業家が注意すべきポイント
- 州法と連邦法の両方を確認する必要:カリフォルニア特有の規制とSEC規制の双方に適合することが求められます。
- 一般勧誘の制限:SNSや広告を利用する場合は、Rule 506(c)など対応可能な免除を選ぶ必要があります。
- 適格投資家の定義:年収・資産基準の確認が不可欠です。
- 海外投資家への発行:日本からの投資を受ける際は、Regulation Sの活用を検討します。
まとめ
カリフォルニアで会社を設立する際、株式の登録免除制度(California Securities Exemption)を活用することで、効率的に資金調達を行うことが可能です。特に§25102(f)やRegulation Dはスタートアップ企業で頻繁に使われています。 海外投資家を含む場合は、Regulation Sの組み合わせも視野に入れる必要があります。
✅ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法律助言ではありません。具体的な株式発行や資金調達を行う際は、必ず弁護士にご相談ください。
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カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和