カリフォルニア州でビジネスを始める、あるいは従業員を雇用する場合、避けて通れないのが Worker’s Compensation Insurance(労災保険) です。カリフォルニアの事業主が必ず理解しておくべき労災保険の仕組みと義務について解説します。
Worker’s Compensation Insuranceとは?
Worker’s Compensation Insurance(労災保険)は、従業員が仕事中に負傷したり、職業病にかかった場合に、その治療費や休業補償をカバーするための保険です。
- 医療費の支払い
- 休業中の給与補償
- 永久的な障害が残った場合の補償
- 最悪の場合、死亡した場合の遺族への給付
これらを通じて、従業員を守るだけでなく、雇用主にとっても訴訟リスクを軽減する重要な制度となっています。
カリフォルニア州における加入義務
カリフォルニア州労働法(Labor Code §3700)では、1人でも従業員を雇用する場合、事業主は必ずWorker’s Compensation Insuranceに加入しなければならない と定められています。
- 正社員だけでなく、パートタイムや臨時スタッフも対象
- 家族を従業員として雇う場合も対象になるケースあり
- 違反すると、民事罰や刑事罰(最大1年の禁錮刑や最大10万ドルの罰金) が科される可能性があります
誰が保険を提供するのか?
カリフォルニア州では以下の方法で労災保険に加入できます。
- 民間の保険会社 から加入する
- 州政府の機関(State Compensation Insurance Fund, SCIF) を通じて加入する
- 一部の大企業は、州の承認を得て 自社で労災補償制度(Self-Insured) を運営することも可能
未加入のリスク
Worker’s Compensation Insuranceに加入していない場合、事業主は次のような重大リスクを負うことになります。
- 従業員が事故や病気にかかった場合、全額自己負担
- 州の監督機関からの調査・制裁
- 刑事責任(罰金や禁錮)
- ビジネスライセンスの停止や事業の継続困難
まとめ
カリフォルニア州では、従業員を雇用する限り Worker’s Compensation Insuranceは必須 です。
事業主にとってはコストに見えるかもしれませんが、従業員を守るだけでなく、自らのビジネスを守るための「保険」でもあります。ビジネスを始める際には必ず早めに加入手続きを済ませることをおすすめします。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。具体的な状況については、必ずカリフォルニア州の弁護士または保険の専門家にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和