カリフォルニア州では、建物の規模や用途に応じて、自動火災スプリンクラーの設置が義務付けられています。特にロサンゼルス市およびサンフランシスコ市では、それぞれ独自の条例により、州消防法(California Fire Code)を補完する形で規定が設けられています。
ロサンゼルス市の場合
ロサンゼルス市では、**Los Angeles Fire Code(ロサンゼルス消防コード)**により、新築・増築・用途変更などの際にスプリンクラー設置が義務付けられる場合があります。
特に、建物の規模や階数、用途区分によっては、自動スプリンクラーシステムの設置が求められることがあります。
設置・改修を行う場合、**Fire Sprinkler Permit(消防許可)**を取得し、図面の審査(plan check)を受ける必要があります。設置後も、定期的な点検・保守(Inspection, Testing, Maintenance)が求められます。
サンフランシスコ市の場合
サンフランシスコ市では、**San Francisco Fire Code(サンフランシスコ消防コード)**に基づき、用途変更や改築時にスプリンクラーの設置義務が課されることがあります。
また、建物所有者(Landlord)には、消防安全設備(消火器・避難通路・非常表示など)の設置・維持義務が課されており、消防当局(San Francisco Fire Department)による検査や是正命令の対象となる場合もあります。
家主(Landlord)と借主(Tenant)の責任区分
スプリンクラーの設置・維持・点検に関する責任は、**賃貸契約(Commercial Lease Agreement)**でどのように定められているかによって異なります。
- 一般的には:建物構造や主要設備(電気・空調・消防設備など)は**家主(Landlord)**の責任
- ただし:借主が改装や用途変更を行う場合、その部分に必要なスプリンクラー設置や費用負担を**借主(Tenant)**が負うケースもあります
消防当局から是正命令が出た場合、原則として建物所有者が直接対応すべき立場にありますが、契約上の条項により、費用を借主に転嫁できる場合もあります。
まとめ
- ロサンゼルス市・サンフランシスコ市ともに、用途や建物規模によってスプリンクラー設置が義務化されることがある
- 家主・借主どちらが設置・維持の責任を負うかは契約内容によって異なる
- 改築や用途変更を行う際には、最新の市条例・消防コードを確認し、事前に建築・消防当局の許可を取得することが重要
免責事項(Disclaimer)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言を構成するものではありません。
個別の状況に応じた助言が必要な場合は、専門の弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和