はじめに
2025年、**日本で人気のラーメンチェーン「天下一品」**が、ついに ロサンゼルス・リトルトーキョーに海外初店舗をオープンし、大きな話題となりました。
ニュース(公式リリース):
https://www.tenkaippin.co.jp/news/8549/
日本のメディアでは店舗オープンの話題が中心でしたが、アメリカの法律・ビジネス視点から見ると、LA子会社は2年以上前から入念に準備が進められていたことが、カリフォルニア州の企業登録資料から読み取れます。
本記事では、**カリフォルニアの公的データ(California Secretary of State 企業検索結果)**をもとに、天下一品LA子会社の基礎情報を解説します。
1. 会社の設立日:2023年4月13日
- Initial Filing Date:04/13/2023
日本の報道では触れられていませんが、
LA店オープンの約2年前には会社が設立されていたことがわかります。
アメリカで飲食店を開く場合、
・物件契約
・内装工事許可(Permit)
・食品事業許可(Health Permit)
・従業員雇用
・食材輸入手続き
など、準備に時間がかかるため、通常でも1~2年の準備期間が必要です。
天下一品も、相当早くから計画を進めていたことが読み取れます。
2. 会社形態:Stock Corporation(株式会社)
- Entity Type:Stock Corporation – CA – General
カリフォルニアでいう「Stock Corporation」は、
日本の株式会社に相当する会社形態です。
責任範囲や株主構造を設定できるため、
日本企業がアメリカ進出する際には最も一般的な形態です。
LLC(合同会社)ではなくCorporationを採用している点から、
・出資関係の透明性
・本社とのガバナンス
・将来の拡大を想定した企業構造
を重視していることが推測できます。
3. 事業所住所:リトルトーキョー内の複合施設
- Principal Address:333–335 E. 1st St., Los Angeles, CA 90012
この住所は、
ロサンゼルス・リトルトーキョーの中心モール内で、
日本食レストランや日系店舗が多く集まる人気エリアです。
アメリカ進出1号店としては、
日本文化に馴染みのあるコミュニティを選び、
テストマーケットとして適切な立地と言えます。
4. Process Agent(裁判書類送達 agent)
- Agent:Individual – TOMOHIKO KOKUSO
カリフォルニアでは会社設立時に、
裁判書類の送達を受け取る「Process Agent(Registered Agent)」の登録が法律上必須です。
Process Agentの役割は:
- 裁判の訴状
- 政府機関からの通知
- 行政手続きに関する書類
などの確実な受け取り
天下一品LAでは、Kokuso氏が個人としてAgentとして登録されています。
登録住所:
6080 Center Drive Ste 600, Los Angeles, CA 90045
日系企業では、
・弁護士
・会計事務所
・コンサル会社
に委託することが多いですが、個人が登録されているケースも珍しくありません。
5. Statement of Information(年次更新)期限
- Statement of Info Due Date:04/30/2026
カリフォルニアでは、
会社設立後90日以内+毎年または隔年で「会社情報の更新」が必要です。
天下一品LA子会社の場合:
- 次回の提出期限:2026年4月30日
期限を過ぎると遅延ペナルティが発生したり、
最悪の場合、会社が「Suspended」扱いになって事業活動に制限が出ます。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ・ベイエリア・ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和
